ゴト師の親分VS店長
【ゴト師の親分VS店長VOL1~序章~】
当店は国道沿いに面していた為、一見さんも多い。
当然招かざる客も多かった。
今回の話はCRフルーツパッションが出てしばらく経った時の事。
スロットではHANABIがまだまだ現役稼働中。
朝からフルーツパッションで大連チャンしている客が2名居た。
【機種説明】
3段階設定付きパチンコで荒いフルーツパッション。
7セグのみのシンプルな作りだが爆発力は半端ない。
オール赤絵柄なら大当り、約2000~2300発の出玉+確変。
真ん中が緑絵柄なら小当り、約100発前後で時短無し。
大小当たり比率は1:1と公表されていたが実際はかなり偏る傾向が見られた。
基本確率が甘い為、小当りでも確変の様に連荘することも多々ある
なので10箱20箱くらいの出玉は時折見られた。
異常な出方をしている台はホールコンデータを凝視してチェックするように厳しく言われていた。
20箱近くまで一撃での連荘、しかも2名。
他の常連さん達も驚きの連荘だったらしく俺に話しかけてきた。
常連A「俺もあんな連荘してみたいなあ」
常連B「あそこは設定1でしょ?すごいねぇ」
毎日通ってる常連さんがたまに出すのはあるが一見客が異常な連荘中。
データを見ると殆どが1ケタでの連荘で、小当りでも5回転くらいで引き戻す。
その二台の売り上げは500円と1000円…早すぎる。
俺は店長に電話を入れた。
割数を聞いて驚く寝起きの店長。
こちらに今すぐ向かう事になった。
店長の家から約15分で店に付くが警戒に気が付かれて換金されたらまずい。
意識して普通にふるまうようにした。
店長が到着してその客の顔を確認する為に島内を通りぬける。
店長は変なオーラが出ているので少し異様に思えた。
二人の内一人が危険を感じたのかやめる素振りを見せた。
そいつはちょうど小当りが来て終わったところだった。
スタッフに玉を運んで貰う所だった。
玉の量が半端ないのでジェットに流すのに時間がかかる。
店長が早速動き出す。
まだもう一人は大当り中、その隣に座って話しかける。
島の外から見てると普通に笑いながら話してる感じに見えた。
数十秒後に店長はその客の右手を掴み事務所に連れて行く。
【後から聞いた話の内容:店長談】
店長「すごいねぇ!どうやったらこんなでるの?」
ゴト師「い、いやー、俺もびっくりですよ」
店長「普通にやたっらこんな出方しないよね?誰にも言わないから教えてよ!」
店長「俺ここの店長やってるんだけど、今だったら警察にも言わないから行ってみ?」
ゴト師「内緒にしてくださいね?実は電波です…」
店長「認めたね!じゃあ事務所行こうか!」
ゴト師「え…そ、そんな…\(^o^)/」
※何故簡単に口を割ったかは今でも謎である。
抵抗する様子は全くなく大人しくついていった。
もう一人は逃げるように換金して立ち去った。
立ち去る車のナンバーをメモして俺も事務所に向かう。
事務所で店長はすでに警察に連絡していた。
そのゴト師は観念している様子で下を向いていた。
警察が来店し、ゴト師に事情聴取。
ゴト師は服を脱ぎ電波発信装置の様な物を露わにする。
その装置は防弾ベストの様な感じのアルミホイルっぽい銀色で足、胴、腕に線で繋がってる大きな物だった。
スイッチは足にあり、あるタイミングで押すことで強制的に誤作動を起こし大当りするらしい。
警察が仲間の事を聞いたが当然とぼけていた。
しかし、捕まったゴト師の帰る足がない事、控えていたナンバーの事がすぐばれる事になる。
警察は無線で連絡をしてナンバーを告げたようだった。
数十分後、同じ国道沿いのライバル店で車は見つかり調べたところそこでも同じゴトをやっていたらしい。
そっちの店で捕まったとの報告を後から聞いた。
写真を撮り後日現場検証する為の書類等を書きその日は警察に連行されて終わった。
3日後の早朝に警察立ち会いの元、オープン前の当店で現場検証が行われた。
ゴト師をその時に打っていたフルーツパッションに座らせ実際にゴトを実演させる。
警察のカメラマンがビデオと写真で撮影。
ゴト師は得意げに説明しながら実演していた。(笑)
玉がスタートに入る瞬間に青いボタンを押すと必ずリーチに発展。
そして▲▼のボタン(+1、-1)を数回おして調整すると見事に当たる。
実に鮮やかに大当りをする。
警察も「おおー!と驚いていた」
もちろんゴト器具は警察に押収されて犯人は逮捕された。
逃げた奴の自供で当店での出玉分のお金も戻ってきた。
そして数日後店に電話が入る。
「関東●●会の若本(仮)ってもんだけど店長いますか?」
店長にかわる。
【スピーカー音声で会話の為俺にも聞こえる】
若本「この間はうちの若い者がお世話になったそうで。」
店長「どちらさんでしょう?」
若本「わかってるでしょ?俺は器具だけ返してもらえればいいんだ」
店長「そんなこと出来るわけないでしょ!何言っているんだ?」
若本「あれいくらすると思ってんの?子供のおもちゃじゃないんだぞ!」
若本「住所言うから送ってや!」
店長「警察に直接言いなさいな。切るよ!」
ガチャ!(電話を切る音)
店長「頭悪いんじゃないかwこいつww」
そしてすぐ電話が掛ってくる。
若本「なにいきなり切ってんだよ!コラ!」
若本「大人しくしてれば…お前の店潰してやろうか?お?」
店長「●●会の若本さんだっけ?脅しか?警察に通報するよ?」
若本「近いうちに若い者とお前の店に行ってゴトしてやるからな!」
店長「あーそうですか!はいはい!」
ガチャ!
店長「まあ、実際来ないと思うけど一応注意して見とけよ。」
俺「はい」
何事もなく一か月が過ぎて忘れそうになった頃に事件は起きる。
【ゴト師の親分VS店長VOL2~報復~】
その日はスロットのHANABがやけに絶好調だった。
8台入って居たのだが満台で、午後1時なのにみんなBIG、REGともにかなり引いていた。
打っていた常連が俺に声をかける。
常連「今日HANABIオール⑥なの?平日なのに凄いね!」
俺は不安になって店長に聞いてみた。
俺「HANABI凄い出てるけど大丈夫ですか?」
店長「ユニバは暴れるから人気あるんだよ。こういう日もあるだろ」
俺「そうですか」
Iそして午後6時頃、店長が不機嫌な顔をして店に出て来る。
店長「いくらなんでもおかしいな。打ってる奴に怪しいの居ないか?」
俺「3人は常連で残り3人は見たことないですが普通に打ってます」
確かにBIG&REG回数が軒並み20回超えている。
出玉は2,500枚くらいだが金を使う感じが無いくらい安定していた。
設定キーを持ってきて遊戯中の台を確認して見ると⑥になっている。
店長が他の台も確認して見るが8台中6台が⑥になっていた。
店長「やられた…電波ゴトだ。」
田舎の店は情報が遅い、当時はインターネットは普及しておらずセキュリティーも甘かった。
パッションの一件以来電波センサーは付けていたのだが、国道沿いの為に度々にトラック無線に反応して作動するお粗末な物だった。
その当時のパチスロは初期設定が⑥になっている物が多く、RAMクリアすると初期設定に戻る機種があった。
田舎だったが組合FAXでHANABIに電波ゴトがあるのは知っていた。
電波ゴト被害にあった事をお客さんに告げてお願いして遊技を中断して貰う事になった。
パチンコ屋相手にゴネてもどうしようもないのでみんな素直にやめてくれた。
ゴト被害でも出メダルはもちろん換金した。
電波ゴトは電波を飛ばした本人を現行犯で捕まえないとどうしようもない。
打っていた中に一味が居たとしても打ち子ではどうにもならない。
その夜もっと凄い事が判明した。
HANABIだけではなくB-MAXやサンダーVなども⑥になっていたのだ。
当時、B-MAXは爆裂仕様なのだが設定1の確率1/399はまだ一般には重すぎてみんなHANABIをやっていた。
サンダーVも好きな常連のおじさんが少し打つくらいなのでBIG1~2回で捨ててあった為に実質被害は少なく、気がつかなかった。
電波で⑥にされたのに打ち子が居ない感じ。(居たらB-MAXを普通は打つ)
店長「これは何の嫌がらせだ…」
俺「もしかして…」
店長「やっぱりあいつかなあ」
俺「それしか考えられないんじゃ?」
店長「とりあえず様子を見よう。」
二日間は何もなく過ぎたが三日目にまた被害にあう。
B-MAXで7000枚、サンダーVで4000枚、HANABIで3000枚と4000枚。
打っているのは見たことあるお客ばかりで特に怪しいのは居ない。
問題はいつゴトをやられてるのかって事だが電波ゴトはやろうと思えば台に座り発信するだけ。
後ろを通る時にやっているのかもしれないし判別は難しい。
ほとんどが三台セットで被害にあっていた為、一台に電波を当てると左右の台にも電波が届くと思われる。
さすがにこれはまずいという事でオーナーに相談、対策会社に頼み防電磁波の電源BOXカバーを購入。
徹夜で取り付けた。
それから電波ゴトと思われる被害は無くなった。
それから数日後また電話が来て皮肉を言ってきた。
若本「いやー最近どうですか?そろそろ返してくれてもいいんじゃない?」
店長「だから警察が押収してるんだからそんなことできんだろ!」
店長「それよりアレもお前がやらせたのか?」
若本「アレ?何の事?知らないなー」
若本「最近出玉好調で景気いいからそんな事いうのかな?w(後ろで笑う声)」
店長「そうだな!御蔭さんで稼働も上がってウハウハだわ!」
若本「アレを返してくれたらきっと出玉も落ち着きますよw」
店長「お前!いい加減にしろ!」
電話を切ってすぐ店長はオーナーに報告。
オーナーが何とかするからもう少し待ってろとの指示。
三日後に黒い段ボールに入った小包が届いて中にはカラスの羽をちぎったみたいなのが入っていて臭かった。
ふたの裏側に「カエセ!」と白いマジックで殴り書き。
悪質との事で警察にも一応報告。
それを最後に今回の件は幕を閉じる。
オーナーが何か手を回したらしいが詳細は不明。
※あとがき※
推測では付き合いのある組関係者に金渡して手を打ったのではないかと思っている。
逮捕者の名前が分かっていたので調べれば辿りつけたのかも…
今回は長ったらしいのにバイオレンスも何もなく読むのに疲れたと思います。
最後までご愛読下さいましてありがとうございます。

この記事へのコメント
【面白記事】 | 【スロパチ関連】 |